AIでWeb制作はどこまでできるのか(できること・できないことの境界)
Q. AIを使うと、Web制作のどこまでを任せられますか?
文章・コード・画像の「生成」と、構成案の量産・チェック作業はAIが担えます。一方、事業目標の設定、情報設計の判断、ブランド表現、公開可否の判断は人の仕事として残ります。当社の実測では、作業時間の約7割がAI側、残る約3割の判断工程が品質を決めています。
「AIでホームページが作れる」という話は増えましたが、実際にどこまで任せられるのかは曖昧なままです。ここでは、AIを制作フロー全体に組み込んで受託しているエビスソフトが、工程ごとに「AIが担っている部分」と「人が担っている部分」を分けて説明します。
AIが担える工程と、人が残る工程
Web制作を9工程に分けると、AIが実作業を代行できるのは主に生成と検査、人に残るのは決定と責任です。当社が自社サイトを含む制作で使っている分担は次のとおりです。
| 工程 | AIが担うこと | 人が担うこと |
|---|---|---|
| 目標設定 | 類似事例・競合の整理 | 何をもって成功とするかの決定 |
| ヒアリング | 回答の構造化・不足項目の洗い出し | 本音の引き出し、優先順位づけ |
| 構成設計 | 構成案を複数パターン同時生成 | どの案を採るかの判断 |
| 文章作成 | 初稿の作成・言い換え案 | 事実確認、トーンの決定 |
| デザイン | レイアウト案・配色案の提示 | ブランド表現としての可否判断 |
| 実装 | コード生成・並列実装 | 設計方針、コードレビュー |
| テスト | 観点の列挙、自動チェック | 実機での確認、合否の判断 |
| SEO / AEO | 構造化データ生成、内部リンク検査 | 狙うキーワードの決定 |
| 公開 | 手順書の作成、疎通確認 | 公開してよいかの最終判断 |
作業時間で見るとAI側が約7割を占めますが、品質を決めているのは残る約3割の判断工程です。ここを省くと「それらしいが成果につながらないサイト」ができあがります。
AIだけでは完結しない4つの理由
- 1
事実確認ができない
実績・料金・法令に関わる記載は、AIが自然な文章にしてしまうほど誤りに気づきにくくなります。数字と固有名詞は必ず人が突き合わせる必要があります。
- 2
事業の文脈を持っていない
誰に何を売っているか、どの顧客を断りたいかは、社外の資料には出てきません。この情報がないまま作ると、綺麗でも刺さらないサイトになります。
- 3
整合性が崩れやすい
ページ単位では正しくても、サイト全体で用語・トーン・情報の粒度がずれます。単一情報源を作って重複記述を排除するのは、いまのところ設計者の仕事です。
- 4
責任を負えない
公開してよいかの判断、表現上のリスク、個人情報の取り扱いは、事業者が引き受けるものです。AIは判断の材料を出せますが、決定はできません。
速くしても品質が落ちない条件
AIを入れると制作期間は短くなりますが、そのぶん品質が落ちるなら意味がありません。当社が短縮できた時間を値引きではなく品質に戻しているのは、次の3点に使うためです。
- 表示速度(Core Web Vitals)の作り込み。当サイト自身が性能スコア100点で動いています
- アクセシビリティ(キーボード操作・読み上げ・色のコントラスト)の確認
- 文章の精度。初稿はAIでも、事実確認と言い切り方の調整は人が行います
発注前に確認したい5つの質問
- どの工程にAIを使っていますか(文章だけか、実装・テストまでか)
- 人がレビューするのはどこですか。レビューの記録は残りますか
- 生成された文章の事実確認は誰が行いますか
- 納品後、自分たちで更新できますか。仕組みは引き渡してもらえますか
- 実際に動くものを見せてもらえますか(提案資料ではなく実物)
まとめ
AIに任せられるのは作業であって、決定ではありません。逆に言えば、作業を任せられるぶんだけ判断と品質に時間を回せます。AI活用型の制作を検討するときは、「どこまでAIか」ではなく「人がどこを見ているか」を確認するのが、失敗しない一番の近道です。
この記事に関するよくある質問
AIだけでホームページは作れますか?
見た目が整ったページを作ることはできますが、事実確認・情報設計・公開判断は人が必要です。実務では、AIが作業の約7割を担い、残る判断工程を人が持つ形になります。
AIで作ったサイトはSEOに不利になりませんか?
Googleは制作手段ではなく内容の有用性で評価すると明言しています。不利になるのは、生成した文章をそのまま量産して独自の情報が無い場合です。事実確認と一次情報の追加を行えば問題ありません。
AIを使うと制作費は安くなりますか?
工程が短縮されるぶん総額は下がる傾向にありますが、当社は短縮できた時間を表示速度・アクセシビリティ・文章精度に再投資しています。安さより、同じ費用での品質向上を優先しています。